情報過多の現代社会(自戒)

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Feb 21, 2021

今日は「フットボリスタラボ・アドベントっぽいカレンダー」の初日です。

今日からJ1開幕の2月26日まで、5日間に渡ってフットボリスタラボのメンバーが順番に記事を書いていきます。テーマは「他ジャンルとサッカーとの関わり」「2021の注目」「Jリーグ開幕」のいずれか。公開される記事もあれば、ラボメンバーのみに共有される記事もあるかもしれません(なんだそれ)。

さて、今日は「他ジャンルとサッカーとの関わり」について書きます。

他分野を学ぶときに意識するべき姿勢について考えてみました。

それっぽい言葉で嘘をつかないために

わたしたちが巻き込まれている注目(アテンション)をめぐる競争。そこにはあるのはセンセーショナルでそれっぽい見出し、それっぽい経歴、念仏のように唱えられるそれっぽい言葉。注目、かっこ、アテンション。

次のサービスにどれくらい時間をつかっていますか?

Netflix、インスタグラム、clubhouse、Twitter、YouTube、ポッドキャスト、オンラインサロン、DAZN

ネットにある情報の、玉石混交すべてを集めたら地球の寿命に届くでしょうか。

そんな群雄割拠の情報戦争でよく使われるのが「それっぽい言葉」

「それっぽい言葉」は使われていくうちに、型となり流行語となって世の中に広がります。どこからともなく現れたわけではありません。きっとその言葉が使われることになったストーリーがあるはずです。しかし、広まる途中でストーリーは姿を消し、残された言葉は「流行語」となります。

DX、RTA、シンギュラリティ、戦術的ピリオダイゼーション、mRNAワクチン

これらの言葉を使うとき、どれくらい理解できていますか。また、どれくあい理解してないと使ってはいけないのでしょうか。

このことは「サッカーと他分野との関わり」とも関係があります。専門外の知識は少なくて当然ですよね。ただ、専門外といってもひとつやふたつくらい知っている有名な単語や概念があります。そのような「流行語」をそれっぽい理解で終わらせないために、意識するべき姿勢とはなんでしょうか。

知らないことに正直に

知ったかぶりをしないことが当たり前のようで難しいのは、「全く知らない」と「完璧に知っている」の間に段階があり、ほとんどの人は「ここまでは知ってる」という状態だからです。全く知らないことなら正直に知らないと言えますが、なんとなく知っていることを正直に伝えるにはどう伝えるのが良いのでしょうか。

知ってることを疑う

「サッカー分析にデータは不可欠」という文章を疑ってみましょう。自分の知識と知識を紡ぎ合わせ、自分が想定する仮定のもとでひとつの結論を出してみます。「サッカー分析にデータは不可欠」と必ずしも同じ結論が導き出されるとは限りませんが、自分の持っている知識体系を使っているなら、それは良い「疑い」ではないでしょうか。

このプロセスを経ない考えは、ただの言葉の切り貼りです。切り絵と違って言葉の切り貼りは美しくありません。

分野を知るきっかけは「それっぽい言葉」でいいですが、学ぶならこのプロセスが大事になると思います。

自分で体験し、自分の知識体系を作り、自分の言葉で話す

僕が一番大切だと思うのが体験です。現代社会は情報にまみれていて、わざわざお金を払うのがバカバカしくなるほどです。情報を得ようと思ったら、YouTubeをさまようだけで、人生のおおよそすべてを情報収集に充てることになるでしょう。その結果得られるものは、他人の意見・他人の考え・他人の人生であり、自分の感覚や経験に結びついたものではありません。いわゆる肌感覚で理解するというやつで、そのためには体験が必要です。

そうやって「自分の」知識体系を作っていきます。「自分の」とつけたのは、森羅万象をおさえた知識体系を作ることは不可能だからです。世にあるすべての情報を100%理解するには身体一つでは足りません。よい情報は時間が経てば常識という知識体系の一部になるでしょう。でも、常識をただ知っているのと、体験を通じて自分の知識体系を作るのは大きく異なります。なぜなら、上で述べた「知らないことに正直に」「知ってることを疑う」を実践するためには他人の知識体系は役に立たないからです。

よく、学際性や「他分野からの学び」といったそれっぽい言葉を使って他の知識体系を使うことの素晴らしさを説こうとする人がいますが、自分の知識から自分の言葉で話すことができなければ、確立された他分野の考え方も意味がないでしょう。

まとめ

データを重要視すると、相対的に感覚をないがしろにしてしまいそうになります。まずは手を動かしてみて、そのとき自分が感じたことに正直になることが一番大切だなと感じる今日このごろです。結局のところ、人間は感覚器官からの情報で生きていますからね。

以上、「フットボリスタラボ・アドベントっぽいカレンダー」1日目でした。2日目はDan Kobayashiさんの『Jリーグにソーシャルディスタンスは”恒久的”に定着するか』です。

(※文中のリンクは筆者の記事です)

(※RTAは筆者が最近観ているYouTubeジャンルで、流行語ではないと思います)

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